映画とドラマ 概要&あらすじ+好き勝手感想文

テレビやネットで視聴した映画とドラマの概要とあらすじ、そして好き勝手に書き散らした感想文です。

「八日目の蝉」(映画)DATA 概要&登場人物とキャスト&あらすじ(ネタバレアリ&なし)

映画「八日目の蝉」は、直木賞受賞作家・角田光代原作の同名の小説を映画化した2011年公開作品です。第35回日本アカデミー賞10冠を獲得した名作です。

「八日目の蝉」概要 

DATA

登場人物とキャスト

秋山 恵理菜(あきやま えりな)/井上真央 幼少時/渡邉このみ

本作の主人公。

生後6ヵ月のとき、父親のかつての不倫相手・野々宮希和子により連れ去られた、秋山丈博と妻・恵津子の娘。4歳まで希和子を母親と思い込んで育った過去をもちます。希和子が逮捕され自宅にもどりますが、実の母親になじめず、18歳になった現在は親元を離れ一人暮らし。自分にとって、かつての誘拐事件は何だったのか、判断できないまま岸田という妻子持ちの男と不倫関係を結んだ末に妊娠してしまいます。

 

野々宮 希和子(ののみや きわこ) / 永作博美

不倫と知りながら同僚の秋山丈博と付き合ううち子どもを妊娠。丈博の「離婚してから~」というその場しのぎの言葉を真に受け堕胎しますが、その後、子宮内膜症により子どもができない体に。丈博の妻・恵津子が子どもを産んだことを知り、一目見ようと留守宅に忍び込み、とっさに赤ちゃんを胸に抱いて逃走。日本各地を転々としながら、赤ちゃんを自分の子として育てます。希和子は赤ちゃんを、堕胎した自分の子どものために考えていた「薫」の名前で呼んでいます。

 

安藤千草(あんどうちぐさ)/小池栄子

希和子が赤ちゃんの薫(恵理菜)を連れて逃げ込んだ女性保護団体エンジェルホームの施設で、一時期、薫と一緒に育った少女。野々宮希和子が起こした誘拐事件を取材し本にしようと18歳の恵理菜に近づきます。千草自身、エンジェルホームにいたことで周囲に溶け込めず、男性に恐れがあるのを悩んでいて、エンジェルホームとは何だったのか、それをひも解くことで、現在の自分を乗り越えようとしています。

 

キャッチコピー

  • 優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。
  • なぜ、誘拐したの?なぜ、私だったの?

 

あらすじ ネタバレなし!

ネタバレOKな方はこの次の、もうひとつのあらすじをご覧ください!

 

18年前のこと。妻のいる男・秋山丈博と不倫関係にある野々宮希和子は、妊娠した胎児を堕胎した後、病気により子どもが望めない体になります。丈博の妻の恵津子が出産したと知った希和子は、雨の中、複雑な思いで秋山家を眺めています。一目だけ赤ちゃんが見たい、と、家に侵入した希和子は思わず赤ちゃんを胸に抱き、そのまま逃走します。

 

恵理菜4歳のとき、希和子は逮捕され、4年の実刑を受け服役します。

 

生後6ヵ月から4歳まで実の母親と信じ希和子を慕って育った恵理菜は、希和子が逮捕されたことで実の両親のもとに戻されます。しかしヒステリックな実母の恵津子になじめず、優しかった希和子に思いを募らせる恵理菜。それを見るたびにまたヒステリーを起こし、恵津子は希和子をなじります。

 

18歳に成長した現在の恵理菜は大学生。実家を離れ居酒屋でバイトをしながら一人暮らしをしています。幼い頃の事件のせいでバラバラになった家族の絆を取り戻せず、それもこれもすべて誘拐犯の野々宮希和子のせいだと母親に教え込まれて育ちました。なんとなくつき合っている男性は、妻子のある岸田という男。まるでかつての希和子のように、恵理菜もまた、岸田の子どもを身ごもってしまいます。

 

18年前の事件を記事にしたいと、安藤千草という女が恵理菜に近づいてきます。じつは千草は、逃走中の希和子と恵理菜が一時期身を寄せていたエンジェルホームという施設で一緒に遊んだ幼馴染でした。千草もまた、エンジェルホームにいたということで心に傷を負い、そこから一歩前に進むために、恵理菜に近づいてきたのです。二人は、逃走中の希和子の足取りをたずねる旅に出ます。

 

丈博の不倫が招いた18年前の誘拐事件。今でもなお、それぞれが、それぞれの割り切れない思いを胸に、事件の影を引きずりながら生きています。

 

ヒステリックな実母から、優しかった誘拐犯の希和子の悪口を吹き込まれ続けて育った恵理菜。希和子との幸せな時間を理性で否定しようともがきながらも、心の奥では家族の愛情に飢えて生きています。

 

かつての自らの誘拐事件の足取りを追う恵理菜と千草。二人はその旅の末、どんな結末を手にするのでしょうか?

 

あらすじ ネタバレアリ!

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抱き上げた赤ちゃんが笑ったから・・・希和子、衝動的に赤ちゃんを誘拐する

ストーリーは、かつて野々宮希和子が起こした誘拐事件の公判風景から始まります。

 

18年前、野々宮希和子は不倫と知りながらも同僚の秋山丈博と付き合っていました。やがて妊娠したことに気づきますが、丈博に相談すると「ちゃんと離婚してから」と言われ仕方なく堕胎します。その後、子宮内膜症により子どもが産めない体に。

 

直後に丈博の妻の恵津子も妊娠。恵津子は夫の不倫に感づいていて、希和子に毎日のように電話をしたりアパートまで押しかけたあげく「あんたなんか空っぽのがらんどうのくせに!」と、自分の大きくなったお腹を見せつけながら希和子を罵るなど、嫌がらせを続けます。

 

土砂降りの中、秋山家の前にたたずんでいた希和子は、丈博を車で送っていく恵津子の姿を目撃します。手をかけた窓は、不用心にも開いていました。一目だけ・・・と、赤ちゃんを見に、希和子は家に忍び込みます。ベビーベッドの中で泣きじゃくる赤ちゃんは、希和子を見ると泣き止み、にっこりと微笑みかけます。希和子は「薫」と、かつてお腹の子どもに名づけた名前を呼び、赤ちゃんを抱き上げると、そのまま逃走。

 

公判で「被告人はなにか言いたいことはありますか?」と問われた希和子はこう言います。

 

「4年間、子育てをする喜びを味あわせてもらったことを、秋山さん夫妻に感謝しています。」

 

それを聞いて激昂した秋山恵津子は立ち上がり「死んでしまえ! 死ね! 死ね!」と声を荒げて罵ります。どうやら恵津子は、とてもヒステリックな女性のようです。

 

ここで舞台は18歳の大学生になり、アパートで一人暮らししている恵理菜の日常に移ります。居酒屋のバイトを終えて帰ろうとしたところに、「安藤千草」と名乗る女がやってきて、かつての事件の取材がしたいと告げます。

 

この後、舞台は①希和子が連れ去った赤ちゃんとどう逃亡生活を過ごしたか②希和子が逮捕され4歳になった恵理菜が秋山家にもどった後の生活、さらに③18歳の恵理菜の現在が、時間を越えてクロスオーバーしながら展開していきます。

 

エンジェルホームでの奇妙で平和な生活

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土砂降りの中、赤ちゃんを抱いて逃走した希和子は、慣れない育児に奮闘しながら、エンジェルホームにたどり着きます。エンジェルホームはDVを振るう夫から女性と子どもを隔離し守るシェルターです。

 

ただ、この子と生きていきたいんです。

わたしには、この子がすべてです。

 

こう訴える希和子を、エンジェルホームの代表者エンゼルさんは受け入れます。ここで希和子は「ルツ」、薫(恵理菜)は「リベカ」という名を与えられ、新しい生活を始めます。

 

一方、希和子が警察につかまり、本当の両親のもとにもどった4歳の恵理菜は、まだ状況が理解できていません。雪の中、自宅を逃げ出し、「知らないおじさんとおばさんの家につかまっている」と警察に訴えます。警察に迎えに来た母親は、4歳の恵里菜にヒステリックに怒鳴り散らします。

 

こんなに心配かけて! どんなに悪い子なの!

そんなにウチが嫌いか!

そんな悪い子はね、もうウチの子じゃないよ!

 

眠る前に「お星さま」の歌を歌ってほしいと恵理菜に言われた母親は、いくつか星が出てくる歌を歌いますが「それじゃなくて」と言われてしまい、またヒステリーを起こします。

その様子を見て、4歳の恵理菜は自分が悪いことをしてしまったと思い、「お母さんごめんなさい」と、必死で謝ります。

 

エンジェルホームは女だけの集団。稲を育て、鶏を育て、自給自足の生活をしています。場所は関西圏のようで、みんな関西弁を話します。 

 

18歳の恵理菜は、「妊娠したかも知れない」と千草に告白します。なんとなくつき合っている妻子のいる男、岸田の子どもです。恵理菜と千草は夜の公園で話します。

 

仲間みんな死んじゃって。

八日目の蝉は悲しいよ。

 

 焼肉屋で恵理菜は、岸田にむかって「もし子どもができたと言ったらどうする?」と、問いかけます。「今はムリだけど、そのうち、なんとかするって!」と、まるでかつての丈博のようにかわす岸田。その答えをきいて恵理菜は岸田に別れを切り出します。

 

何かと親切にしてくれる千草は、じつは同じ時期にエンジェルホームにいたマロンでした。二人は幼馴染だったのです。千草は、エンジェルホームや希和子の足跡を追う旅に出ようと恵理菜を誘います。千草もまた、エンジェルホームにいたという過去のために周囲と打ち解けられず、男性に対して恐怖を抱きながら、生きづらさを感じているのです。そして、そこから抜け出すために、過去の自分と対峙しようと、希和子の足跡を訪ねる旅を恵理菜に提案したのでした。

 

あたしだって、普通の母親になりたかったのよ!

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恵理菜が妊娠を告げると包丁を手に取り乱す母親の恵津子。

 

どうしてあの女の言うことは信じるの。

あの女を自分から取り上げたのはわたしだって思ってるんでしょ!

あたしだって普通の母親になりたかったのよ!

女の子が母親に笑いかけてると、妬ましくて悲鳴を上げそうになるのよ!

 

包丁を振り上げ声を張り上げたかと思うと床にくずおれ、「どうして車に乗せなかったんだろう」と、事件が起きた当日の自分の行動を悔やみます。そして「恵理菜ちゃんに好かれたいの。どうすればいいの?」と涙を流します。母親もまた苦しんでいるのです。

 

エンジェルホームでつかの間の平和な時間を過ごしていた希和子は、施設を抜けだす決心をします。施設を見学にくる人がいるという知らせで、警察が来るかもしれないと警戒したのです。

 

エンジェルホームを抜けだし、暗い夜道を歩きながら怖がる薫(恵理菜)に希和子はお星さまの歌を歌ってきかせます。「見上げてごらん、夜の星を~」と。

 

エンジェルホームでの友人からメモをもらった希和子は、メモに書いてある小豆島の住所をめざし、フェリーに乗ります。

 

場面は現代に移り、かつての希和子と薫(恵理菜)と同じように、フェリーに乗って小豆島にわたる恵理菜と千草。二人は事件を起こした希和子の、当時の足取りを訪ねてここまで来たのです。

 

八日目の蝉は、悲しいだけじゃないかも知れない

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小豆島でそうめん工場の働き口を見つけ、希和子と薫(恵理菜)は島に落ち着きます。希和子はここでは「宮田京子」と名乗ります。

 

明日も明後日も、ずっと薫と一緒におれますように!

 

希和子は神に祈ります。

 

薫、どこにもいかへん。

薫、ママとずっと一緒におる!

 

すっかり関西弁を上手に話すようになった薫(恵理菜)は、希和子をじつの母親と信じて慕っています。

 

小豆島にたどり着いた18歳の恵理菜と千草。草葺きの古い神社の境内に寝そべり、恵理菜は、お腹の子どもを産む決心をしたこと、この子に世界中のきれいなものを見せてあげたいのだと千草に話します。それを受け、千草は以前に話した蝉のことを思いだします。

 

あのさ、前に蝉の話したよね。

七日で死ぬより八日目の蝉の方が悲しいって。

わたしもそう思ってたけど、違うかもね。

八日目の蝉はさ、他の蝉には見られなかった何かを見られるんだもん。

もしかしたら、ものすごくきれいなものかも知れないよね。

 

うん。そうかもね。

 

その同じ古い神社で、4歳の薫(恵理菜)は希和子、仲良しの村の子どもたちと一緒に、村に伝わる伝統芸能、農村歌舞伎を観ています。桜の季節がきて、村の子どもたちは小学校入学を控えてランドセルを背に写真を撮ってもらっています。薫はそれが羨ましそうです。

穏やかな夏の夕暮れ、希和子は波打ち際で貝を拾う薫の姿に微笑みます。あたたかな親子の姿が印象的なシーンです。

 

青々とした稲が葉を伸ばしヒグラシが声を募らせる夕刻、村では長い松明を手に、棚田を練り歩く虫送りの祭りが執り行われます。緑の棚田をいくつもの松明の火が列になって進んでいきます。薫は足をとめ、その美しい光景に目を留めます。

 

ママ見て、こんなにきれいや!

 

希和子も足を止め、目を見張ります。

 

恵理菜と千草は棚田が見える高台に車を止めます。恵理菜は辺りを見回し、ここに自分がいたことを思いだします。希和子と笑い交わしたテーブル、お遍路の鈴の音、希和子が「宮田京子」の名で働いていたそうめんの製麺所。島の子どもたちや大人から「薫」、「薫」と親し気に呼ばれる声が耳にこだまします。希和子の優しい声すら聞こえてきます。

 

恵理菜はここで、島の人々に受け入れられ、希和子に愛され、幸せだったのだと思いだします。

 

虫送りの祭りを撮影した1枚の写真が全国紙の写真コンテストで佳作に選ばれ、でかでかと新聞に掲載されていることを希和子は知ります。その写真の中央には、仲良く松明を手にする希和子と薫(恵理菜)の姿が。

 

希和子は薫(恵理菜)にお引越ししようかとたずねます。薫は「いやや、薫はここが好きやから、どこにも行かへん!」と、言い張ります。その夜、希和子と薫は写真館で家族写真を撮り、その足で港に向かいます。希和子は動物園に行くのだと薫をなだめています。

 

一方、現代の恵理菜と千草も港に来ています。恵理菜はかつて4歳だった自分がこの同じ場所に立っていたことにうっすらと気づきます。

 

世界で一番好きだと何度も言うの!

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夜の港に到着した希和子は、そこに警官の姿を認め、ついに観念します。婦人警官により引き離された薫は希和子を呼び、数人の警官に取り囲まれた希和子は「その子はまだご飯を食べていません。よろしくお願いします」と、深々と頭を下げます。

 

ここで希和子は逮捕され、自分は引き離されたのだと、はっきりと記憶をよみがえらせた恵理菜は、立ちすくみます。

 

ふらふらと歩き出した恵理菜は、港からほど近い写真館を探し当てます。店主は健在でした。「写真は5年ほど前、野々宮希和子が持っていった」と彼は告げます。現像室で、恵理菜はじょじょに浮かび上がる写真を見つめます。

 

「薫、ありがとう」

 

写真を撮影したときの希和子の様子が浮かんできます。

 

「大好きよ、薫」

 

肩を震わせながら、希和子は薫を抱きしめます。

 

希和子にこれほど愛されていた事実に戸惑い、写真館から走り出す恵理菜。

 

「憎みたくなんかなかった。お母さんのことも、お父さんのことも、あなたのことも。この島にもどりたかった。本当はもどりたかった。でも、そんなこと考えちゃいけないって思ってた」

 

そして、自分が本当に望んでいてしてもらえなかったことを、お腹の子どもにしてあげたいと願います。世界で一番好きだと何度も言うのだと。

 

「わたし、なんでだろう。

もうこの子が好きだ。

まだ顔も見てないのに、なんでだろう」

 

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好き勝手感想文は次回。